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和食トリビア集


鰯(いわし)

日本料理の食材 2月

節分の夜には鰯の頭を柊の枝に刺して、門口や家の軒下に吊るす風習があります。棘のある柊で鬼の目を刺し、鬼が大の苦手とする鰯の匂いで鬼を追い払うという魔除けのおまじないです。

平安時代の源氏物語の作者として知られる紫式部は鰯が大好物だったようです。当時の上流社会では、鰯は身分の高い人は口にするものではないとされていましたが、紫式部は「日の本にはやらせたまう石清水(いわしみず)、まいらぬ人はあらじとぞ思う」と石清水八幡の「いわし」を掛けて、石清水八幡を参らない人がいないように鰯を食べない人はいないと歌ったと伝えられています。石清水八幡宮は京都府八幡市にある神社で、日本三大八幡宮の一社です。

さて、鰯には真鰯、潤目鰯、片口鰯の3種類があります。通常鰯といったら真鰯のことを指します。新鮮な真鰯には体の横に並んだ青黒い斑点が見られます。

片口鰯は煮干しや目刺し、田作り等でお馴染みです。下あごが短く上あごだけが目立つためにこの名があるといいます。アンチョビはこの片口鰯から作られています。

潤目鰯は目が潤んだように見えることからこの名前があり、塩干しにした丸干しが美味です。鰯の稚魚であるシラスは、畳鰯やシラス干し、ちりめんじゃこなどに加工されます。(2013年掲載)