江戸時代になると花見や芝居見物などの行楽が盛んになり、楽しみのための弁当が作られるようになります。
幕の内弁当は芝居小屋から生まれたお弁当です。芝居見物では通常、芝居小屋に付随する茶屋の弁当を幕間(まくあい)に食べました。芝居の幕間に食べることから幕の内弁当と呼ばれるようになったといわれています。弁当は幕間に食べるのに都合の良いように、握り飯と煮物や焼き物などのおかずが詰め合わされました。
松花堂弁当は、料理店や屋内での簡単な食事として提供されるものです。初代吉兆のご主人が松花堂という器を弁当箱として考案したのが始まりとされています。
松花堂は被せ蓋の付いた四角の箱型の器で、中身が田の字形に4等分されているのが特徴です。もともとは煙草盆や小物入れなどに使われていたものといわれ、江戸時代初期の僧である松花堂昭乗(しょうかどうしょうじょう)が好んだことが名前の由来とされます。(2013年掲載)