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和食トリビア集


初鰹(はつがつお)/bonito(ボニート)

日本料理の食材 5月

katsuo.jpg「目には青葉山ほととぎす初鰹」は、江戸時代の俳人山口素堂の句です。この句からもわかるように初鰹は夏の季語で、初鰹は夏を知らせる魚です。戻り鰹のように脂はのっていませんが、夏の到来を知らせる味わいとして親しまれてきました。

鰹は日本書紀や古事記には堅魚(かつお)と記されています。日本書紀では、イワカムツカリノミコトが景行天皇に白蛤(うむぎ:蛤の古名)と堅katsuo.jpg魚を料理して差し上げたとあり、一般にはこの話が日本料理の起源として伝えられています。

初鰹は5月頃、黒潮に乗って南の海から日本の太平洋沿岸に餌を求めてやって来ます。このころの鰹はまだ脂が少なくさっぱりしています。初鰹に対して、9~10月頃に三陸沖で獲れる鰹を戻り鰹といいます。初鰹に比べて脂がのって旨味が増し、秋の味覚として楽しまれています。

鰹節の原料には脂肪の少ない鰹が適しており、初鰹から作られるものが良質とされています。鰹節は戦国時代にその名が「勝男武士」に通じることから縁起物とされるようになり、勝男節や松魚節といった縁起の良い言葉の置きかえられるため、結納などの進物などに用いられてきました。 

 高知県(土佐)が鰹の名産地であることから、料理名に「土佐」の字がつけば、鰹を使ったものであることが分かります。鰹の削り節を利かせた煮物は「土佐煮」、鰹節の出しを合わせた酢は「土佐酢」、鰹のたたきは「土佐造り」ともいいます。鰹のたたきは高知県の郷土料理としても有名です。

酒盗(しゅとう)は鰹の腸(わた)で作られる塩辛です。余りに美味しく、酒を盗んでも飲みたくなることからこの名があるといわれています。