和食トリビア集


栗(くり)/chestnut(チェスナット)

日本料理の食材 9月

img_kuri.jpg栗は英語でchestnut。よくマロンといいますがこれはフランス語で、marron(大粒のクリ)の意味です。

日本の山野に自生する原生種はシバグリという小粒の栗で、縄文時代から貴重な食料とされてきました。また古くは搗栗(かちぐり)に加工されました。搗栗は生のまま又は煮てから荒皮をむき、天日で乾燥させてから臼で搗いて渋皮を取り除いたものです。搗くことを「かつ」や「かち」といったことから搗ち栗が、勝ち栗に通じるとして出陣の縁起物とされるようになり、現在では正月の縁起物とされています。

シバグリ(芝栗・柴栗)から改良された日本栗は、渋皮離れは悪いのですが、果実が大きいことで世界的に知られています。栗といえば丹波が代名詞のように使われていますが、丹波栗は特定の品種名ではなく、丹波などで産出する栗の総称です。大粒だったことから大きな栗という意味で使われるようになりました。昔、京阪地方の栗は丹波地方からの供給で満たされていたことと、丹波で大粒の栗の品種が出来上がったことがその由来とされています。

江戸時代になると江戸幕府によって五節供が式日とされ、五節供のひとつである重陽の節供には栗ご飯を食べるようになりました。そのため重陽の節句を栗の節供ともいうようになりました。江戸時代には生栗として利用され、栗生姜といって生栗を細く切った針栗と針生姜を混ぜ合わせて、なますの添え物にすることが流行したそうです。

栗は沖縄を除く全国で栽培されており、現在も色々な料理に用いられています。栗の渋皮煮は栗の鬼皮をむいて、渋皮と実が一体になるまで時間をかけて柔らかく蜜煮にしたものです。栗の蜜煮は渋皮をむいて砂糖や蜜、水で甘煮にしたものです。クチナシの実を使って、秋の色合いである山吹色に仕上げます。その他にも栗ご飯や栗おこわ、栗せんべいなどが秋の味わいとして親しまれています。(2013年掲載)