和食トリビア集


精進料理(しょうじんりょうり)

料理・行事食 なし

日本では仏事の時には精進潔斎をし、生臭物を食べない風習がありましたが、鎌倉時代に禅宗が入ってくると厳しい食礼や精神性とともに、精進料理がひとつの形式として形作られました。道元禅師や栄西禅師が宋から禅寺の料理を持ち帰ったのが始まりとされています。

肉や魚などの生臭物や動物性の食品、五葷(ごくん)と呼ばれる大蒜(にんにく)、葱、らっきょう、韮(にら)、野蒜(のびる)などのにおいの強い野菜類は禁じられており、大豆、豆腐や湯葉などの豆製品や乾物、野菜類、胡麻、海藻類、穀物等の植物性の材料を使って調理します。質素ながらも温かい料理は温かい内に提供し、限られた食材を無駄にせずに有効活用する姿勢や精神性は、茶懐石の誕生にも大きな影響を与えたとされています。

禅寺で般若湯(はんにゃとう)は酒、山河豚(やまふぐ)は蒟蒻(こんにゃく)の刺身を指します。狸(たぬき)汁は蒟蒻や牛蒡の入った味噌仕立ての汁物のことで、生臭物の肉を蒟蒻に変えたことから、狸が別の姿に化けるのになぞらえてこの名があります。(2014年掲載)