和食トリビア集


亥の子(いのこ)

慣習・年中行事 11月

1-006-2猪.png亥の子とは、十二支の亥の月に当たる旧暦10月の亥の日を祝う行事です。亥の月の亥の日の亥の刻(午後9時から11時までの2時間)に餅を食べると病気をしないといわれ、亥の子餅を食べる風習があります。

 

起源は、古代中国の宮廷で行われていた、多産な猪にあやかり子孫繁栄を祈願する儀式が、平安時代に朝廷で取り入れられ、大豆、小豆、ささげ、胡麻、栗、柿、糖(あめ)を混ぜた餅を食べると病気にならないという中国の故事にならい、餅が作られるようになったといわれています。

この頃はちょうど稲の取入れの時期に当たることから、民間では収穫を祝い新穀で餅をついて食す行事が広まったと考えられています。

 

亥の子は田の神様を山へお帰しする日ともされ、関西でポピュラーな行事となっていますが、東日本では旧暦10月10日に「十日夜(とうかんや)」という同様の行事が行われます。この日は田んぼの神様が山に帰る日と信じられ、田の神様の化身と信じられている案山子(かかし)を家に持ち帰って祀ります。

 

古く亥の子の日は、囲炉裏や掘り炬燵を使い始める日でもあり、火鉢を出す習慣もありました。猪は火を防ぐ動物とされ、亥の子の日に火を入れると火事にあわないといわれてきました。

 

また、茶家では亥の子の日に炉開きを行う習わしがあり、暑い時期にふさいでいた炉(ろ:床を四角に切って灰を入れて湯を沸かす所)を開きます。炉を開いた後には口切(くちきり)という、その年の新茶の入った壺の封を切り、新しいお茶を味わう茶事を行うこともあります。茶家では、この壺の口切に合わせて茶室の畳や障子などを新しくして、新年と同じように祝います。